鳥居清長忌展覧会とは?

 江戸時代、回向院は庶民による一大文化発信拠点でもありました。本尊阿弥陀如来をはじめ、境内の観世音菩薩や弁財天などが人々の篤い信仰を集め、毎年のように行われた全国の有名寺社の秘仏開帳「出開帳」では、境内をはじめ付近に見世物小屋や飲食店が並び、大変な賑わいをみせたといいます。

 江戸時代の庶民による文化の代表といえば浮世絵を思い浮かべます。今から200 余年前に美人画で絶大な人気を誇り、現在も世界から高い評価を受ける浮世絵師・鳥居清長は、回向院に眠ると記録されています。その清長と縁の深い回向院では、2013年に鳥居清長碑の建立に至りました。以降、毎年鳥居清長法要と鳥居清長と彼の作品を広く人々に伝えていこうと「鳥居清長忌展覧会」を開催しております。

 今では、両国の初夏に賑わいを呼ぶ恒例の行事として、地域の皆さまや浮世絵ファン、歴史ファンに心待ちにされるようになっており、二日間で1,500 名程の方々にご来場頂き、楽しんで頂ける展覧会となっております。


過去の鳥居清長忌展覧会


2017年 6月10日・11日 二日間だけの鳥居清長と山東京伝展~回向院に眠る二人の絵師~
2016年 5月14日・15日 二日間だけの清長と相撲浮世絵展
2015年 6月6日・7日 二日間だけの清長展
2014年 6月21日 200回忌 1日だけの清長展
2013年 4月27日~5月19日 江戸の華 浮世絵と回向院展
5月4日~5月8日 鳥居清長名品展


鳥居清長とは?

清長

 鳥居清長(1752年−1815年)は、天明期に活躍した浮世絵師です。鈴木春信、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重と並び、六大浮世絵師と呼ばれています。

 役者絵を専門とする鳥居派4代目当主であることから「出語図」などの独自の表現による役者絵を多く残していますが、一世を風靡し、彼の代名詞となったのは美人画でした。清長の描くすらりとした八頭身の美人は「天明のヴィーナス」と呼ばれ、現在に至るまで国内外問わず高い評価を得ています。当時広まり始めた大判、さらには二枚続き、三枚続きの広い画面を活かして描かれたのびやかでいきいきとした美人は、天明の流行や人々の様子を今に伝えます。


平野智恵子氏の鳥居清長研究

 19世紀末、清長の作品の熱心な収集は日本よりも欧米で早くに始まりました。20世紀に入ると国外での清長評価の高まりに刺激されるように、日本国内でも清長作品の持つ美しさが再評価され、「浮世絵六大絵師」としてその名が広まります。このように清長の重要性は多くの人々に認められてはいたものの、彼の仕事の全貌、及び浮世絵及び日本美術史における役割や意義に関する研究・整理は成されてきませんでした。本格的な清長研究がはじめて世に出たのは1939年、ほとんどすべての清長版画作品を収載するとともに、重厚な歴史的論文を収めた『清長——その生涯と作品』がハーバード大学出版局から出版されました。著者は、ボストン美術館東洋部助手の日本人、平野智恵子。彼女はボストン美術館における蔵書管理などの膨大な仕事に関わりながら清長研究に携わり、約20年もの歳月をかけこれを完成させました。後期は病と闘いながら成され彼女の死の直前に完成した労作は、清長研究の創始にして偉大な到達点であり、浮世絵研究における模範ともいわれています。

清長と回向院

清長碑

 清長は1815年(文化12年)5月21日に数え年64歳で没し、回向院に葬られました。かつて墓碑が回向院にあったことは知られながらも、震災や大戦によってその所在は不明になっていました。しかし近年調査の結果、過去帳にその名が残されていることが再確認されました。これを受け、没後200年の節目を前にして鳥居清長碑実行委員会が組織され、2013年4月に清長碑の建立に至りました。


鳥居清長碑

鳥居清長碑は、重要文化財に指定されている《大川端夕涼み》((公財)平木浮世絵財団 蔵)を原画とした美人のブロンズプレートが掲げられています。仏像彫刻家である村上清氏によって絵から浮き上がるかのように刻まれた女性は、団扇を片手に涼しげで秀麗です。

碑文は、小林忠氏(国際浮世絵学会会長・岡田美術館館長)によるもので、次のような文が刻まれています。

 日本橋に生まれた鳥居清長は、気風の良い、生粋の江戸っ子でした。天明のヴィーナスとうたわれる美人画とともに、鳥居派四代目を継いで歌舞伎絵の分野でも活躍しました。

 その清長は、文化十二年(一八一五)五月二十一日に数え年六十四歳で没し、両国の回向院に葬られました。その後の度重なる災害によって失われた墓碑が、没後二百年を間近に迎えて、ここ菩提寺の境内に再建されることとなりました。

 この記念碑によって、浮世絵の歴史に輝かしい足跡を残した鳥居清長の偉業が永く顕彰されることを、願ってやみません。

清長碑

建立から年月が経ち、鳥居清長碑の前に立つと、美人の顔や手がつややかになっているのに気付きます。これは美人に触れると、清長美人のように美しくなれる、または絶世の美女に出会えるという噂がささやかれるようになり、多くの人々が美人に触れていくようになった為です。


場所:回向院境内(本堂脇)
寸法:H210cm × W200cm × D810cm
材質:本小松・ブロンズ
意匠:村上清(仏像彫刻家)
筆耕:早野考槃(書家・圓天寺住職)

清長忌実行委員会

実行委員長

佐藤 光信 公益財団法人 平木浮世絵財団 常務理事


実行副委員長

斎藤 文夫 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館 館長


実行委員(五十音順)

奥田 敦子 すみだ北斎美術館 主任学芸員
小池 満紀子 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館 理事
寺嶋 哲生 公益財団法人 摘水軒記念文化振興財団 理事長
内藤 正人 慶應義塾大学 文学部 教授、慶應義塾大学アート・センター 所長
樋口 一貴 十文字学園女子大学 人間生活学部文芸文化学科 准教授
本多 将敬 回向院 副住職
松村 真佐子 公益財団法人平木浮世絵財団 学芸員
森山 悦乃 公益財団法人平木浮世絵財団 理事
安村 敏信 北斎館館長、大倉集古館顧問

事務局

内村 修一 株式会社江戸文物研究所 代表

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-18-4 昭美ビル1 階
電話:03(5640)4446 FAX:03(6661)6641